切り口は異なるが、賢人に学ぶもう一つの方法。過去に著わされた「未来を描いたSF小説や漫画」などから、人類の叡智と愚かさの両面を学ぶ方法である。 例えば、アイザック・アシモフの『鋼鉄都市』(1954刊)。ロボット工学三原則に縛られたロボットに殺人が犯せるかというミステリSFだが、人類の科学的進歩の裏側に生まれた負の創造物と、人間の成長の限界を現わしていて面白い。69年前、私が生まれた年に刊行された本である。 地球人口80億に達した数千年後の未来、人々は閉鎖空間の過密都市で暮らす。私が注目したのは、地球の自然が完全に破壊され、食料はロボット頼みの水耕栽培とイースト菌醸造工場産。そんな食料生産が可能…