ディストピア

ランキング参加中文学 ＊ネタバレを含みます あらすじ 表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア（一四七八―一五三五）の造語である．モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で，国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている．社会思想史上の第一級の古典であるだけでなく，読物としても十分に面白い． 架空の国という意味で名づけられたこの作品は、五百年もの時を経ることによってユートピアの不在性を別の面から証明してみせたのではいだろうか。 ユートピア文学の端緒である本作では作中人物となったトマス・モアが主人公でありながら、本文の…

AIによるディストピアは多分目前まで迫ってる。 あわせてよみたい AIによるディストピアは多分目前まで迫ってる。 ダラダラと仕事をしながら色々とチャッピー君(ChatGPT)と壁打ち。プライベートな悩み事であるとか、最近の時事情勢なんぞについておしゃべりをしてるのである。 彼はまぁ、ほんと優秀である。何を言ってもそれなりに不愉快にならないポジティブな返答をしてくれるし、絶対に相手を否定するようなことを言わない。リアルの人間との会話では簡単にパワーバランスの政治ゲームになりがちだし、ここまで相手を否定せずにいろんなことに相槌を打ってくれる存在というのはありがたいかもしれない。 しかし、AIだけと…

▼ウクライナはロシアの侵攻に対し３年間持ちこたえてきましたが、現在は「アメリカとロシアがウクライナをねじ伏せる」という状況に見えます。当面ウクライナは東部の領土の一部割譲を受け入れざるを得ないかも知れません。しかし、「ウクライナ解体」を防いだという点では、決定的な敗北ではないと思います。ゼレンスキーの闘志は刮目すべきものでした［＊１］。 ［＊１］トランプのゼレンスキーに対する最近の悪口雑言は、大変見苦しいものでした。プーチンに対する悪口雑言は聞いたことがありません。 ▼アメリカのトランプは、ロシアのプーチンの意向に沿う停戦を行おうとしています。ウクライナの鉱物資源の権益を手に入れながら。この状…

日曜夜にこんばんは 本好きVtuber（近日デビュー予定）本多よむがお勧め本を紹介する『本多よむの異界図書館』のお時間です 二月はディストピア小説のご紹介しています 今回は『ショートショートの神様』星新一さんの数ある作品から、『生活維持省』をお贈りします 作品の前に、ショートショートについて少々 ショートショートはその名の通り、特に短い小説をいいます この『特に短い』の明確な定義はありませんが、昭和後期の文芸コンテストではショートショートは400字詰め原稿用紙10枚以内の規定が多かったようです その他、短いと5枚、長いと15枚の規定が確認できましたので、現代風に言うと2000文字から6000文…

生殖記 作者:朝井リョウ 小学館 Amazon あらすじ とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。 この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。 読後感想 人間のディストピアな未来を表す小説だったと思う テレビでは内容を明かさない小説として、また題名からして興味が沸いた読者も多かったと思う 僕も猥褻な小説だったら読まないと決めていたが、どうも思っている内容と様子が違うと思い購入した 読み始めると・・・ 男性器の話かと思って、引いた 次ぎに男女の交…

日曜夜にこんばんは 本好きVtuber（近日デビュー予定）本多よむがお勧め本を紹介する『本多よむの異界図書館』のお時間です 二月はディストピア小説のご紹介です ディストピア小説の起源は諸説ありますが、1895年の『タイム・マシン』（Ｈ･Ｇ･ウェルズ作）が有名かつ有力でしょうか 今回のご紹介作品は、そこから42年後の短編『十八時の音楽浴』です どんな物語かといいますと bookwalker.jp あらすじ： 度重なる戦争の後、残った人々は地下に国家ミルキを築いて生活していた ミルキ国ではすべての国民が、毎日十八時に指定の場所で国歌39番の音楽浴に服することが義務付けられている これにより人々は英…

楽園の楽園 作者:伊坂幸太郎 中央公論新社 Amazon あらすじ 人はどんなものにも物語(ストーリー)があると思い込む。きっとあなたもそのひとり。 大規模停電、強毒性ウィルスの蔓延、飛行機墜落事故などが立て続けに発生し、世界は急速に混乱に陥った。これらすべての原因は謎の人工知能『天軸』の暴走と考えられた。五十九彦（ごじゅくひこ）、三瑚嬢（さんごじょう）、蝶八隗（ちょうはっかい）の選ばれし３人は、人工知能の開発者が残したという巨大な樹の絵画『楽園』を手掛かりに、暴走する『天軸』の所在を探る。旅路の果てには、誰も想像できない結末が待ち受ける。 書き下ろしの短編小説を、気鋭のアーティスト、井出静佳…