これはSさんから聞いた話。 Sさんは大学のサークル仲間と、K県にあるT沢の奥のキャンプ場によく行っていた。 その日も中の良いメンバーと川沿いでキャンプを楽しんでいた。 夜が更け、山の中は冷え込みを増していた。 大学生のSさんたちは、川沿いのキャンプ場で焚き火を囲んでいた。 パチパチと音を立てて燃える炎が、彼らの顔を赤く照らす。 昼間は賑やかだった川のせせらぎも、夜になるとどこか不気味な響きに変わっていた。 「Tさん、薪が減ってきたので取って」 Mさんがそう言って、Tさんのそばに積み上げられた薪を指さした。 Tさんが、ちょっと待ってろと言って立ち上がった、その時だった。