小学生になった途端、孫は顔が引き締まった。子供部屋には時計がおかれ、登校時間、授業の時間割、塾の予定と、時間と一緒の生活がはじまったのだ。 公園で一緒に遊んでいる時さえ、生意気に「いま、なんじ」と聞く。 一方、私は、時間に追われる夢を見る。大抵は昔の仕事のことだ。「何度そろばんを置いても手形の合計が合わない」「プログラムの修正を急かすコンピュータのエラー音」「講演が始まるのに、講師が到着しない」などなど。 思い出すだけでも、背中に汗をかく。焦りがまだ体の奥に残っている。 時間は、一直線に過去から未来へ向かって行く。だからどんな時も急がねばならないと思ってきた。 ところが、アフリカの狩猟民族は時…