不在の騎士 (河出文庫)作者:イタロ・カルヴィーノ河出書房新社Amazon『不在の騎士』は『木のぼり男爵』『まっぷたつの子爵』に続くイタロ・カルヴィーノの『我々の祖先』三部作の最終章。エスカルゴを食べるのを拒否して木の上で生活するとか、真っ二つの半身が善人と悪人になるとか、奇想天外な設定の三部作だが、中身は空洞で鎧兜だけの騎士アジルールフォが活躍する、文字通り『不在の騎士』も前二作に輪をかけて荒唐無稽なお話だ。 時は中世、シャルルマーニュ(カール大帝)はイベリア半島を支配していたイスラム勢力との戦いに明け暮れていた。その閲兵式に臨む騎士たちの中に傷一つない純白の甲冑をまとった騎士がいた。 「し…