BUFFALO SOLDIERS
2001年9月 カナダ・トロント国際映画祭のワールド・プレミアで会場を騒然とさせ、その評判からミラマックス社が直ちに全米配給権を獲得。しかし、その翌日は、あの「9月11日」だった…! 事態は急変。ナショナリズムが高まる中でかつての賞賛はたちまち非難へと変わり、全米公開は5度も延期されるが、この映画に描かれていることは「不謹慎なつくりごと」などではなく「真実」であった。アメリカの迷走は今に始まったことではなかった。時代はブッシュ(父)に遡り、戦争は、こうしてはじめられる!
実在の人物の体験談に自らのリサーチを加えてロバート・オコナーが書き上げ、ピューリッツァー賞フィクション部門にもノミネートされた小説「バッファロー・ソルジャーズ」を原作とする本作は、『キャッチ22』、『M★A★S★H』などの傑作軍隊コメディ映画の伝統を踏襲しつつ、戦時下ではなく平和のさなかで、本来それを守るべき存在であるはずの軍隊が自らを敵にまわして戦いをはじめる姿をブラックな視点で描き、「なぜアメリカは戦争という同じ過ちを繰り返すのか」という問いを投げかける。また、9.11後にこの作品がたどった度重なる全米公開延期という運命を振り返るとき、いまやアメリカが“自由と平等の国”などではあり得ないことにあらためて気付かされるのだ。
主人公エルウッドには、その存在感と多彩な役柄を演じ分ける幅広さでハリウッドでもますます活躍中のホアキン・フェニックス。権力をあざ笑い、体制を利用しながら秩序の崩壊した状況を生き抜こうとするアンチ・ヒーローという新たな役柄で、その魅力を最大限に発揮している。さらに、アンナ・パキン、エド・ハリス、スコット・グレンといった実力派俳優たちが確かな演技でその脇を固めるほか、撮影にスティーヴン・フリアーズ監督とのコラボレーションで知られるオリヴァー・ステイプルトン、音楽には『オーシャンズ12』の公開も待たれるデヴィッド・ホルムスら才能あふれるスタッフが集結した。
公式ウェブサイトより引用
時は、ベルリンの壁崩壊が間近に迫り、アメリカでは第41代大統領ブッシュ(父)が就任中の1989年。西ドイツ、シュツットガルトに駐屯する米陸軍基地では軍の規律が緩み放題で、平和ボケしかけた上級士官たちは昇進でアタマがいっぱい、戦うべき敵のいない兵士たちによる問題も後を絶たない。そんな中、エルウッドも退屈しのぎに物資の横流しからヘロインの密売と、闇取り引きに手を染めていた。ところが彼がこれまでで最大級の取り引きを目の前にした時、基地の浄化を公言するリー曹長が新たに着任する。それはまさに、これから起こる惨事の前触れだった!
公式ウェブサイトより引用
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*1:Rated R for violence, drug content, strong language and some sexuality.