戦国鬼譚 惨<文庫版> (コルク) 作者:伊東潤 コルク Amazon 人呼んで剛腕歴史小説家の伊東潤氏が、武田家滅亡までの日々を描いた連作小説集。 「始祖」武田信玄の死後を襲った武田家盟主の四郎勝頼は、最後は親族にまで裏切られて、取り巻き数十人という惨めな状態まで追い込まれた上で自害して果てたが、そこに至るまでに、いかにして民心が離れていったのかを克明に描く作品集だ。 武田勝頼というのは毀誉褒貶の激しい人物だ。戦闘能力の高さでは父信玄を凌ぐほどという評価を得ながら、治世者という意味では凡庸、というよりは悪政を敷いた人物として伝えられている。故に、武将として見るか、政治家として見るかの視点によ…