茶の湯の点前を稽古する。点前を最初から最後まで出来るようになるためには、ある程度の日数がかかる。まずは場面を切り取って稽古する。これを割稽古という。袱紗を捌いて棗を浄める。この場面だけを「割って」稽古するのだ。 やがて、薄茶を点てたり、濃茶を練ったりできるようになるころ、今度はお茶事の稽古を経験し、お茶に至るまでの道程の長さを知ることとなる。お茶事の始まりは食事とお酒である。食べて呑んだあと、炭点前があり、主菓子を食べ、一旦庭の待合へ出る。ここまでで二時間くらいは経っているだろうか。ようやく濃茶点前が始まる。初めて経験したときには「やっとかよ」と驚いた。 夏の点前座。 普段稽古はお茶事のお茶の…