ぽとん。 夕暮れ色に染まる空から、赤い雫がひとしずく、“しずくの丘”へと舞い降りました。 それは、ほんとうに小さな、小さなしずくでした。 その瞬間、ふくのんの耳に、「ちりりん……」と、 どこか懐かしい鈴の音が届きます。 ふくのんが顔を上げると、そこには、やわらかな光に包まれたお地蔵さまのふくりんの姿がありました。 赤い前掛けをふわりと揺らしながら、泉のほとりにそっと立っています。 「ふくのんよ……ほら、見てごらんなさい」 ふくりんの声は、風に溶けるように、やさしく響きました。 ふくのんが、そっと手のひらを差し出すと―― 赤い雫はふわりと宙に浮かび、光の羽をまとった折り鶴へと、しずかに姿を変えま…