まだ母が元気だったころ傘を買いました。母の持っていた傘は何十年も前に買った色あせた折りたたみ傘とどこで買ったのか黒い蝙蝠。どうせなら華やかな傘を。わたしも欲しかったので折り畳み傘と長傘をピンク系とブルー系。色違いで2本ずつ合計4本買って選んでもらうことにしました。残ったのはわたしが使う。 「どれが好き?」狭い和室で傘を開いてみるとどれも華やかでパッと花が開いたみたいにきれいでした。もうそれほど出歩くことがなくなっていた母はピンク系の長傘を1本だけ選びました。「あとはあなたが使いなさい」 結局その1本すらもほとんど使うことがなくホームの部屋の片隅に置かれています。もう一人で出歩くことがない母は今…