「斬る」(1968)を見る。原案は山本周五郎の「砦山の十七日」。監督は「日本のいちばん長い日」の岡本喜八。主演は仲代達矢。 黒澤明の「用心棒」を彷彿とさせる痛快娯楽時代劇だが、仲代達矢と高橋悦史によるユーモラスな掛け合いが魅力。「七人の侍」の菊千代(三船敏郎)を思わせるような百姓出身の田畑半次郎(高橋悦史)の親しみのあるキャラクターがいい。悪徳家老の鮎沢(神山繁)もはまり役だ。 ・・・ 江戸末期の天保四年(1833年)。空っ風が砂塵を巻き上げる上州・小此木藩に二人の男がふらりと現われた。ひとりはやくざの源太(仲代達矢)。実は二年前に、役目の上から親友を斬り、武士を棄てた男、兵頭弥源太だ。 もう…