2019年4月に平成が終わると、5月1日から「令和」が始まった。昭和の終わりに際しての、陰鬱な自粛ムードを知っている昌行は、その朝、清々しさのようなものを感じたことに戸惑っていた。この代替わりは、時代を画するものなのだろうか。昌行はそうした疑問を感じずにはいられなかった。 翌2020年には、昌行の生活圏の近くにも、世界的な流行をしていた新型コロナウイルス感染症の影響が及ぶようになった。徒歩20分ほどにある病院内での集団感染が報じられたのである。また、これと前後して、参加を予定していたトークイベントや、WRAP(ラップ)講習などが次々に無期の延期となった。外出時にはマスクの着用が欠かせないものと…