若い頃からできるだけいろんなジャンルの本を読もうと思ってきた。 実際、古典的な文学作品からよくわからない雑本まで、それなりに幅広く読んできたつもりでいる。つまりは乱読だ。 しかしその中で、なんとなく読まずにきたジャンルというのがあって、それがいわゆる時代小説や歴史小説といわれるものである。 別にその手の物語が嫌いというわけではない。テレビの時代劇なんかは子どもの頃からよく見ていたし、時代漫画(?)も好きだ。そういうものをきっかけに読んだ小説はある。 例えばドラマの影響から池波正太郎の『鬼平犯科帳』や『剣客商売』は少し読んだし、漫画から隆慶一郎の『一夢庵風流記』(『花の慶次』の原作)や『影武者徳…