トリアージュという言葉を意識して聞いたのは,東日本大震災後だったように思う。大災害が起きたとき,ケガの程度で処置の等級づけをして患者にラベルを付けて視覚化し,効果的な医療処置ができるように配慮することである。「選別」という意味のフランス語triageに由来するという。 災害時に出てくる言葉だが,実は戦争のときの野戦病院で使われる。命が助からないと選別された兵士は,それ以上の処置をせず,命が助かる兵士に医療処置を集中させる。トリアージュというのは,そういう命の選別をすることである。医者,看護師,そして機材など,医療資源に限りがある場合,この選別はやむを得ないとされている。 新型コロナウイルス禍に…