山田詠美『ぼくは勉強ができない』は、新潮文庫のヴァージョンと、2015年に刊行された文春文庫の版がある。著作権とかはどうなっているのだろうか。不思議なので、二つとも買い求めて、比べてみた。本文の内容については、だいたい同じだと思う。 異なるのは、冒頭の「四半世紀後の秀美くん」というエッセイが、文春文庫版には所収されているということ。このエッセイは、作者の山田詠美さんの作品に対する思い出的なものと、主人公・時田秀美くんへの架空のインタビューで構成されている。 ちなみに、そんなかつての高校生だった時田秀美くんは、『賢者の愛』にてスピンオフ登場するようだ。このある種「番宣」ともいえるエッセイが収録さ…