二 近代化と人間の重心位置の変化 今回から第五章の中心、二に入ります。で、「重心」という言葉が分からないという人もあるかもしれませんが、近代化が進む過程で起きた日本人の心と体の変化が主題ということ押さえておいてください。 こうした変化が顕著に現れるのが「身長」です。近代化が最初に始まったのは西洋ですが、19世紀半ば以降の150年間で平均身長が10センチ以上伸びました。 中でも19世紀初頭のイギリスでは、イギリスの上流階級の若者(サンドハースト陸軍士官学校の学生)とイギリスの労働者階級の若者(マリン・ソサエティの少年)の平均身長の差は22 cmに達しました。ここから、支配階層から身長が高くなって…