ノンフィクションに、こういう形があるんだなぁ、と。 ノンフィクションというとどうしても比較的最近の事件とか、まだ決着をみていないちょっと前の事件とかを題材にすることが多いと思う。どこどこで起こった殺人事件とかほとんど報道されなかった裁判の話とか、そのときは聞けなかった政治家の話とか。 だけど本作は違う。事件そのものは1871年に起こっている。150年前の事件だ。事件そのものではなく、その事件の真実を求め、互いが許し合う台湾・日本双方の努力の過程がノンフィクションで描かれている。 琉球の宮古島島民、台湾の排湾族が事件の当事者であり(どちらも二重にマイノリティだ)、明治維新後の日本が対外拡張を始め…