「枢密院」(望月雅士著、講談社現代新書)を読んでの感想です。 枢密院といえば「胡散臭い」「頑迷固陋」「陰謀」といった世論が、現在および、その存在中からつきまとっています。1902年、まだ枢密院誕生してから13年の時点で、伊藤博文が総理大臣だった時の「遺物」と中江兆民が枢密院を批判しています。 戦前の日本は衆議院と貴族院と枢密院の三院制だった、という見解があります。このうち国民が選べるのは衆議院だけです。貴族院は定数250~400名で議事録が公開されていますが、枢密院は定数わずか二十数名で議事録が非公開です。枢密院は他国に同様の機関がなく、伊藤博文が欧州留学中にシュタインの講義に出てきた参事院を…