君の自主性を尊重するとか、自分で考え給えとか、格好がよいけれど決断という負担を単に押しつけているだけで、とても無責任なのである。確固とした価値観がなく臆病でなにかから逃げているだけにすぎないのに、ものわかりがよいふりをしている。 ときには、駄目なものは駄目だ、と断定してあげたほうが子供たちはよほど気が楽である。だから暁仙和尚は「子の云うことはハ、九きくな」とした。ただし、一、二を残すところが味噌。妥協は心得ている。「親父の小言」が滅びなかったのは通俗性の底の深さであろう。(猪瀬直樹『明日も夕焼け』朝日新聞社、2000) こんばんは。今日は父の日です。父の日が近かったから、というわけではありませ…