この著名な本も、戦後50年を区切りに岩波文庫に入った当時手に入れて、四半世紀の積読を経てようやく読了した。同じころ話題になった『月明学校』を先日読んだことがきっかけだが、『やまびこ学校』の方が反響も大きく、後世への影響もずっと大きかったというのは納得できた。 『月明学校』は若い女教師が成長する私小説としての面白さがあるが、『やまびこ学校』は無着成恭(1927-)の担任した学級全員による文集であり、子どもたちの生の声がふんだんに入っている。子供たちの作文を通じて、村の暮らしのリアルや、無着が行う教育の姿がありありと浮き上がる仕組みになっている。 その教育のありようは、おそろしくまっとうで感動的だ…