また春陽堂が続いてしまったので、ここで単行本ではあるけれど、大正十五年刊行の石井研堂の『増訂明治事物起原』も挙げておきたい。そこには『近代出版史探索』152で既述したように、「予約出版の始」という項目もあるからだ。残念ながら「外交販売の始」はないけれど、その前史が予約出版にあったことは明白だ。その「予約出版の始」を引いてみる。 (復刻版) (ちくま学芸文庫版) 明治十四年ころより古書の翻刻予約出版一時大に行はれる。稗史小説を主とするもの、漢籍を主とするもの、政治経済書を主とするもの、其書籍の種類は一様ならざれども、其出版方法等は、何れも大同小異なり。(中略) 漢籍に次では、徳川期近代の小説類と…