なぜ本作をミステリーと勘違いしていたのだろう。(以下、ネタバレしています) てっきり昭和最後のバブルのにおいがプンプンする銀座のキャバレーやクラブの音楽シーンを舞台に、ヤクザが絡んだクライム・ミステリーだと思っていた。鑑賞のきっかけは池松壮亮。彼が夢を追いかけるピアニスト博と夢を捨てたピアニスト南を演じ分けるというから観始めたのだ。 確かに序盤で刑期を終えた”あいつ”が博が弾くピアノに近づき「ゴッドファーザー」のテーマ曲を弾いてくれと依頼したが、その曲をリクエストできるのは”会長”と呼ばれる銀座のボスと、演奏できるのは南というピアニストだけという伏線。てっきりその理由や”あいつ”と”会長”の因…