担当している私立中学校2年生の男の子の家庭教師の最終日だった。 彼は、LDではないが、特異的に数学の成績が悪い。と言っても、彼が学校で勉強している数学は数ⅠA、それも高校の授業より速いスピードで授業が行われている。 彼は、中学生レベルの問題は容易なく解答できる。公立中だったらトップレベルであろう。ただ学校レベルの難しい問題になると、心が折れる。でも必死に立ち向かおうとする。ひじの内側が出血するほど掻く。頭もものすごい勢いで掻く。『もういい、止めよう』と何回言おうとしたか…しかし彼は最後の回まで投げ出したり、逃げ出したりすることはしなかった。 必死に教えた、できる限り教えた。でも捗捗しく成績は上…