冬のニューヨーク 1996年12月下旬。 3度目のJFK空港。 Mの迎えを待っている私は、彼が遅れてくることに慣れっこになっていた。 3度目の目的は何だったのか。 NYのクリスマスが見たかったのかもしれない。 Mのアパートメントにホームステイできたからかもしれない。 本当は、日本にいるのが嫌になったからかもしれない。 結婚生活が破綻して、希望を失くし、何をすればいいのかわからなくなった。 暖かい家族を作るのが子どもの頃からの夢だったはずなのに、暖かい家族の意味がわかっていなかった。 暗中模索で手を取り合って走り始めた時、大きな壁が立ちふさがって諦めた16歳。 しかしHと出会って、今度こそ乗り越…