風流がりな男であると思いながら源氏は 直衣《のうし》をきれいに着かえて、 夜がふけてから出かけた。 よい車も用意されてあったが、 目だたせぬために馬で行くのである。 惟光などばかりの一人二人の供をつれただけである。 山手の家はやや遠く離れていた。 途中の入り江の月夜の景色が美しい。 紫の女王《にょおう》が源氏の心に恋しかった。 この馬に乗ったままで京へ行ってしまいたい気がした。 秋の夜の 月毛の駒《こま》よ 我が恋ふる 雲井に駈《か》けれ 時の間も見ん と独言《ひとりごと》が出た。 🌖🎼月読命 written by ハシマミ🌖 少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web …