北斎のこの富岳三十六景は、東海道山中というタイトル。場所ははっきりしないが、現在の掛川市付近とも言われている。 木挽きは各地でこのように仕事をしていたのだろう、ようすが分かって興味深い。ただし南部木挽き唄にある移動集団とは少し違うようである。 画面下の方に目立てをしている人が見える。この作業には時間が要したようで、最後の江戸木挽き職人といわれる林さんは、「木挽きは、木を挽いている時間より目立ての時間の方が長いと言われています」ともいう。これが「今朝もやすりの音がする」という唄の歌詞にある作業らしい。 さて静岡県には、木挽き唄が残っているのだろうか? どうやらその答えは、あまり期待できないようだ…