東京・大田区の蒲田(かまた)といえば…。 【その1】映画「蒲田行進曲」。戦前、松竹キネマ蒲田撮影所があり、かつてこの地域は「東洋のハリウッド」を目指した時代があった。 蒲田撮影所は1920年(大正9年)、旧蒲田村に約三万平方メートルで開設。初期の日本映画を代表する女優の田中絹代や、小津安二郎監督らが活躍した。よく知られる「キネマの天地」という言葉は撮影所の所歌に出てくる。 当初は無声映画の時代だった。音の出るトーキー映画が広まると、騒音に悩まされるようになった。周囲には工場が並び、東京飛行場(現在の羽田空港)の完成で航空機も飛んでいた。 手狭になったこともあり、神奈川県大船町(現在の鎌倉市)に…