作家。1953年、京都に生まれる。 早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了後、松竹株式会社に入社。歌舞伎の企画・制作に携わる。 松竹を退職後は、故・武智鉄二に師事し、フリーで歌舞伎の脚色・演出・評論などを手がける。 1997年、『東洲しゃらくさし』で小説家としてデビュー。同年『仲蔵狂乱』(講談社)で第八回時代小説大賞を受賞。その後『非道、行ずべからず』(集英社文庫)、『似せ者』(講談社)がそれぞれ直木賞候補となる 2007年、『吉原手引草』で第137回直木賞受賞。
書名:料理通異聞 著者:松井今朝子 出版社:幻冬舎 出版年:2016年 この本は、江戸時代後期の名料亭「八百善」をつくりあげた主人公、善四郎の一代記です。祖先は八百屋で、父親は江戸山谷で「福田屋」という精進料理店を営んでいました。その跡取りが善四郎です。 善四郎は、多くの人々が集まる法要の膳を請け負って成功させ、世間の評判を得ます。やがて文人墨客や身分の高い武士も集まる料亭に発展します。料理素材の吟味や調理技術も群を抜いていますし、有名人や目上の方々とのコミュニケーション力にも長けていました。 大名家祝宴キャンセルのエピソードが事業発展の契機になったと、僕は思います。 善四郎は、ある大名家から…