書名:料理通異聞 著者:松井今朝子 出版社:幻冬舎 出版年:2016年 この本は、江戸時代後期の名料亭「八百善」をつくりあげた主人公、善四郎の一代記です。祖先は八百屋で、父親は江戸山谷で「福田屋」という精進料理店を営んでいました。その跡取りが善四郎です。 善四郎は、多くの人々が集まる法要の膳を請け負って成功させ、世間の評判を得ます。やがて文人墨客や身分の高い武士も集まる料亭に発展します。料理素材の吟味や調理技術も群を抜いていますし、有名人や目上の方々とのコミュニケーション力にも長けていました。 大名家祝宴キャンセルのエピソードが事業発展の契機になったと、僕は思います。 善四郎は、ある大名家から…