1897(明治30)〜1966. 8.23(昭和41) 俳句実作者にして古俳句研究者、随筆家。本名は泰助。
東京市日本橋区に生まれる。開成中学を中退後、独学で俳句、短歌、文章に精進、ホトトギス社に入社し編集に従事。寒川鼠骨の知遇を得て『子規全集』編纂に尽力した。『蕉門の人々』『古句を観る』など、俳句に関する著作は高く評価されている。晩年、書肆の求めに応じて『明治の話題』『妖異博物館』正・続などを著し、話題を呼んだ。
奇談異聞辞典 (ちくま学芸文庫 シ 22-3) 筑摩書房 Amazon 『奇談異聞辞典』柴田宵曲編を読む。というか、読み中。 作者は俳人・歌人だが、「ホトトギス社に入社し、編集に従事」。いわば編集者でもあった。「博覧強記」で」知られる作者は、『耳嚢(みみぶくろ)』『甲子夜話』など江戸時代の「怪談奇談の随筆集」から、目に適った譚を選んで「五十音順に」並べ辞典としたものがこの本。ミニ鈍器本といってもいい分厚い文庫。労作。 見本に一例紹介。 「小豆洗(あずきあらい)」 映画『妖怪大戦争』(主役が子役時代の神木隆之介)で小豆洗は「ナインティナイン」の岡村が演じていた。あまりにもぴったりで今でも覚えてい…
読んだらすぐに読書メモを書いておけば、月末に苦労しなくて済むのにと、毎月後悔し続けているのに、先月もしっかり溜め込んでしまった。 そして、またしても全部は書ききれなかった。😱 今月こそは、頑張ろう…。 *Kindle Unlimited(読み放題)の書籍は、今後読み放題でなくなる可能性がありますので、ご注意下さい。 *感想には盛大にネタバレも含みますので、気になる方はスルーをお願いします。 羽海野チカ「3月のライオン」 3月のライオン 16 (ヤングアニマルコミックス) 作者:羽海野チカ 白泉社 Amazon Kindle本で揃えている作品。 眠れない夜に、しばらくぶりに読み返していた。 物語…
『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫) 怪奇・幻想・ファンタジーのなかから猫が題材のものを選んだアンソロジー。似たような作品が集まるのは避けられないし、関連作品として類話や元ネタを並べてある場合もありますが、基本的に「化ける」以外にすることがないので平板です。 「猫」別役実(1982) 架空の博物誌の系譜に連なる『××づくし』シリーズの一篇。猫は化けるものという前提で書かれています。 「パート1 猫町をさがして」「猫町 散文詩風な小説」萩原朔太郎(1935) 「古い魔術」ブラックウッド/西條八十訳(Ancient Sorceries,Algernon Blackwood,190…
2024年9月20日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,065点(セット版を除く)をあげた。文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら→ちくま学芸文庫M&S刊行書目一覧 最新版 - karumerabunkoのブログ 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄『…
柴田宵曲(しょうきょく)「古句を観る」岩波文庫 1984年 元禄期の無名作家の俳句集成・評釈。 新年 蓬莱や日のさしかかる枕もと 釣壺 蓬莱を飾った枕許に元日の朝日がさしている。めでたい句である。 春 玉椿落て浮けり水の上 諷竹 「落ちて浮けり」に時間の経過、椿のどっしり感がある。 裏門の潜(くぐり)に見ゆる青葉かな 野紅 簡単なスケッチであるが これほど単純に句にすることはむつかしいい。 夏 客人に水汲おうとや夏の月 吾仲 井戸であるからつめたいことは請け合いである。 秋 木犀のしづかに匂ふ夜寒かな 賈路 少しの隙もみせないのは実感だから。静止したやや長い時間が必要。 冬 こほる夜や焼火に向…
前回の続き(?) EPUBファイルをどうにかこうにか作成し、見直しとかもして、そろそろアマゾンさんにアップロードですかねって気分になったので、登録情報をポチポチやっていった。 KDPのロイヤリティを決める項目で35%にしますか70%にしますかってのを選択する箇所がある。70%を選ぶには読み放題に登録しなきゃいけないとか著作権者でなければいけないとかそういう縛りがある。今回作ってるのは作業量も結構あったので奇蹟: 柴田宵曲随筆選のときみたいに99円で売るのは無理(奇蹟の場合は無料がないので有料の下限に設定しただけだった)と考えており、これくらいはほしいよねというロイヤリティの腹づもりもして数字を…
昨日は一日中雪交じりの雨が降っていました。こんな日はストーブの前で本を読むに限ります。森銑三との共著『書物』(岩波文庫)にある柴田宵曲の「書物を題材とした作品」という文に、「第一に京伝の『御存商売物(ごぞんじのしょうばいもの)』が浮かんでくる」(308頁)とあり、それが読みたくなりました。『手前勝手 御存商賣物』は北尾政演(きたおまさのぶ)畫作です。北尾政演は山東京伝の画号で、京伝はまず画工として草双紙に携わりました。『御存商賣物』は書物を擬人化した黄表紙です。わずかしか本は持っていませんが、居ながらにして京伝を読めるのは幸いです。
十二月三日。昨日スマホの機種変更をした。iPadやKindleなどと充電の端子を一本化したのはよかったが、旧機種からデータを移行しなければならず、手引の小冊子をいただいたが緊張感ただならず、心配した通りきょうの日曜日は午後のラグビー早明戦の時間帯を除きほぼ終日移行作業に従事した。それでも写真はうまくゆかず混乱したが、あれこれ調べまくってAirDropなるものに行き当たりようやく解決した。 いま読んでいる内田百間『東京焼尽』の一九四五年三月十三日の記事に「ラヂオの故障はコンデンサーが駄目になつた為であるとかにて、差し当たり修繕の見込立たず。警報の度に困るとは思ふけれど仕方がない。機械と云ふものは…
昨日の便りに俳句には興味がないと書きましたが、退院してから小西甚一著『俳句の世界』(講談社学術文庫/1995年第2刷)を再読し、第一部「俳諧の時代」に引き込まれました。これなら俳句の本を読めるかもしれないと書棚を探してみたところ、柴田宵曲(しばたしょうきょく)の『古句を観る』と『蕉門の人々』(ともに岩波文庫)がありました。読んだ覚えはありますが、内容はすっかり忘れていました。加藤郁乎の『江戸俳諧歳時記』(平凡社ライブラリー/2007年)の埃を払う時がきたのかもしれません。