格差という虚構 小坂井敏晶/ちくま新書 格差という虚構 (ちくま新書) 作者:小坂井敏晶 筑摩書房 Amazon 刺激的なタイトルである。目下世界中で問題となっている格差が「虚構」というのならば、格差について頭を悩ませるのは無駄ということになってしまうのではないか。 正確に言えば、本書は格差そのものではなく、格差を正当化する「メリトクラシー」という考え方の虚構性と問題を明らかにするものだ。メリトクラシーとは「個人の能力によって地位が決まる=それによってできる格差は正当なものである」という考え方である。 かつては強力な身分制度により、階級間の移動は困難だった。それに比べれば、個人の能力によって地…