もう20年くらい前、皇居前広場を散歩していると、立派な武士の銅像が目に入りました。誰かと思って見てみたら、楠木正成だったので、なんとも言えない違和感に襲われました。現天皇は北朝の子孫なのに、南朝に味方した楠木正成が、現在の皇居前広場に唯一の武士の銅像として立っているのです。私が違和感を持ったのは矛盾そのものよりも、この矛盾に多くの日本人が疑問を持っていないことにありました。 私が楠木正成について感じる最大の疑問です。楠木正成は忠君、つまり天皇への忠誠心を第一とした武士にどうしてなるのでしょうか。楠木正成は現天皇家を否定しようとした人物です。実際、死後200年くらいは天皇家の敵、朝敵とされていま…