どんな愛車でも、いつかは手放さなければならない時が来る。 L880Kコペンと言う軽自動車は、決してベストな選択とは言えないが、十六年を経ても尚、まるで珠のような輝きを維持していた。製造番号4桁のそれと別れたのはもう、去年の秋のことである。 コペンは多少のオーバースピードでカーブに突っ込んでも、低い重心とブリヂストンの純正レグザのグリップに任せて「だから何?」と、涼しい顔で切り抜ける。左右のコーナーをまさに「クルクル」回る様は、だから車体が丸くなったかのようだった。また、今でも公道でアクセルの全域をいかした走りを学習できる唯一の車だと思う。アクセルと非力なエンジンのツキの合間をいかに減らすのか、…