水無月。 水がないと書くこの月に作家、太宰治は玉川上水に入水した。 奇しくも太宰の遺体は彼自身の誕生日に見つかり 最後に書いた『桜桃』という短編から この日を『桜桃忌』と呼ぶようになったそうである。 つい先ごろのこと。 ご縁があって、太宰治をイメージした企画展に誘われた。 創作にあたって、年初より太宰治の作品を読みあさり 時には皮肉たっぷりな毒気にあたって気力を失いながらも 物語に登場する女性たちのようにひたむきに純粋に向き合ってみた。 私が題材に選んだのは5作品。 以下、一部抜粋と合わせてご紹介します。 「革命も恋も、実はこの世で最もよくて、おいしい事で、あまりいい事だから、おとなのひとたち…