窪田章一郎(1908‐2001)『窪田章一郎全歌集』(短歌新聞社)口絵より切取らせていたゞきました。 棋士たちは、師匠から日常頻繁に盤を挟んで手ほどきを受けつゝ、成長してゆくわけではないという。入門時に顔合せをかねて、棋力・棋風を診ていただくために一局。一人前の棋士として巣立つときに、お祝いとして一局。それらを含めても、せいぜい数局だそうだ。 入学五年目にして三年生になった夏ごろ、卒業論文は窪田章一郎先生のご指導を仰ごうと決めた。やがて志願の時期が来て、ご研究室へ参上した。西行で書いてみたかったが、なにせ眼の前の師は日本一の西行学者だ。あまりに畏れ多いとなれば、慈圓あるいはその他の新古今歌人で…