既に仕事始めも過ぎてしまったけれど、久しぶりの歌舞伎座は、赤い提灯が下がり、入口には大入袋が付けられた樽酒があって、まだまだ新年を祝う華やかな様子。1階ロビーには凧や羽子板、宝船などの縁起物に餅花が散らされて飾ってあり、きっと本当に鏡開きをするであろう大きな本物の鏡餅も鎮座していた。 今回の演目のうち、なんと言っても、注目は、NHKの時代劇を歌舞伎にした「大富豪同心」。私が中村隼人という役者さんを知ったのは、なにを隠そうこの番組で、彼のことを大富豪同心と密かに呼んでいたこともあり、大変楽しみにしていた。 今回は三演目の構成で、最初の「熊谷陣屋」は源平合戦を舞台にした、人情や悲劇を含む、しっかり…