東野圭吾氏といえば、ミステリの大作家です。 ミステリといえば、ふつう殺人事件とか誘拐とか、さまざまな事件が起こるのがお約束ですが、この歪笑小説にはそういう事件は起こりません。 ただ常識破りのあの手この手をくり出して、原稿を取ってくる伝説の編集者が出てくると思えば、自作のドラマ化に舞い上がってまだ企画段階なのに家族親類、友人知人に自慢したあげくに話は思わぬ方向になってしまう新人作家、美人編集担当者に自作を褒められたのを勘違いし恋心を抱きプロポーズまでしてしまった作家など、出版業界のまわりは笑える事件がいっぱいです。 歪笑小説/東野圭吾/集英社 文壇の表も裏も知り尽くした売れっ子のミステリ作家であ…