「糸」と聞くと、何を思い浮かべますか?細くて、柔らかくて、服や布を作るために欠かせないもの。けれど、この糸には、日本の産業を大きく動かした深い歴史があるのです。今回は、「紡績業」と「製糸業」という2つの似て非なる仕事の違いと、それぞれが日本にもたらした影響について、やさしく、でもしっかりとご紹介します。 紡績業と製糸業、その違いって? まず最初に、この2つの言葉の意味をはっきりさせておきましょう。 **製糸業(せいしぎょう)**は、蚕(かいこ)が作るまゆから「生糸(きいと)」を取り出す仕事です。原料はシルク、つまり絹です。 **紡績業(ぼうせきぎょう)**は、綿花や羊毛などを使って「糸」を作る…