クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年作『殺人に関する短いフィルム』について。 上層と下層 / 下層における殺人 意図的に他者に対して嫌がらせをしているタクシードライバーがおり、より加害欲求を拗らせた存在として主人公がいる。それに対して社会の上層に属する存在として弁護士とその周囲の人々がいる。法律を含めた社会制度はその上層に属しており、上層の人々からはその外部は見えていない。 冒頭で水際で死んでるネズミと首を吊られて殺されてるネコが映るが、ネズミはタクシードライバーに、ネコは主人公と対応しているように見える。さらに、あたかも映画内で起きたことがドブの中で起こったかのように、映画を通し…