殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く―(新潮文庫) 作者:長谷川 博一 新潮社 Amazon 私は死刑廃止論を支持している。人道的観点とかなんとかいう高尚な理由からではなく、現行法下で死刑を宣告されるような重罪を犯した犯罪者には、死を以って償わせるのではなく、死ぬまで強制労働を科し、そこから得られる利得の大半を被害者たちに補償金として支払うべきだと考えるからだ。もちろん、補償に回せる私有財産があればそれを全て没収した上での話だ。例えば殺人の被害にあった方の遺族の「極刑を望む」という心情は理解できなくもないのだが、極刑を科したところで死んだ人が帰ってくるわけでもないし、…