五山に比べると曹洞宗においては、比較的参禅の気風は守られていたようだ。しかし室町中期以降となると、林下と同じように師弟の間で口訣伝授される「密参録」が流行してしまい、本来あった禅風は失われてしまう。このように閉鎖的な環境に陥ってしまうと、自ずと分派活動が促進されることになる。 また地方をメインに活動していた曹洞宗が円滑に布教するためには、その地の支配者である戦国大名の庇護を受けることが必須となる。その結果、戦国大名の領国ごとに教線を広げていくことになったから、これまたロ-カル色が強くなる要因となった。各門派は互いに連絡がなく、別個に本末関係を結んで発展していったわけである。 しかしある時期から…