マックス・ピカート著『沈黙の世界』から。 言葉は、自己がそこから立ち現われたところの沈黙と、つねに連関を保っていなければならない。 人間の言葉は単に真理のみによって決定されるのではなく、また愛情によっても決定されている。言葉は愛情をこめてふたたびその源泉を振り返るのである。一人の人間の内部にある沈黙は、その人間の生涯を超える。そして、この沈黙のなかで、人間は過去及び未来の世代につながっているのである。 愛のなかには多くの沈黙があり、愛の女神アフロディーテも沈黙から生れたのである。沈黙は過去・現在・未来をひとつとして、言葉だけでなく相愛の人々を始原へと連れて行きます。 そう、幼児は沈黙の一つの小…