天下統一が成り、戦乱の世も終わった。独立色の強かった様々な集団は、あらかた潰されるか、権益を取り上げられ幕藩体制という新しい仕組みの中に再編されていった。平和と秩序の時代の到来である。 発生するたびに死者が出る向かい礫など、お上にとっては百害あって一利なし。当然、禁令を出した。いや禁令はこれまでも出ていたのだが、どこか腰の引けているものであって、例えば鎌倉幕府の北条泰時に至っては「あれを禁止すると飢饉が起こるといって、騒ぎになるから放っておけ」と言ったものである。 しかし既に中世は終わり、新しい時代となっていた。寛永の頃に禁止令が出されているようで、これ以降、死者が何十人も出るような、凄まじい…