*トラークル 詩「浄められし秋」 浄められし秋 トラークル ちからづよく、こうして年は終る金色(こんじき)の葡萄と園の稔りをともなって。あたりの森はふかしぎにおし黙り孤独な者の伴侶となる。 そのとき農夫は言う— これでよし。おまえら晩鐘はながくしずかにひびき終えてなお、はれやかな気持を与え旅ゆく鳥の列があいさつをよこす。 これは愛のおだやかな季節(とき)。青い流れを小舟でくだりゆけばなんと美しくかたちにかたちが並び—すべては安らぎと沈黙のうちに沈みゆく。 *訳:檜山哲彦(岩波文庫) Verklärter Herbst G. Trakl Gewaltig endet so das JahrMit…