環境に適応できた者が生存競争を勝ち抜くという考え方を、私たちはわりと素朴に受け入れています。なるべく早く、よく慣れた方が有利に決まっていると。 しかし、その環境が、認識しづらいほど緩慢に変化しているとしたらどうなのでしょうか。 独創的な手法で過去2600年分の日本の気候を解き明かし、日本史の読み直しを試みる研究者がいます。 名古屋大学教授の中塚武さんです。 中塚さんの専門は同位体地球化学、性質はほぼ同じで、質量が異なる同位元素の比率や特性を利用し、地球に迫るもので、はじめは海の研究が主でした。 しかし「調べるなら年輪だ」。そんな嗅覚が働き、木の研究をスタートさせます。 中塚さんは考古学者らに声…