2月の終わりからロシアのウクライナ侵略のことを俳句にしています。といっても、俳句といっていいかどうかというレベルの句ですが😅その出来不出来は別として、戦争を俳句に詠む是非について考えています。報道で接する戦争はあくまでも実体験ではありません。テレビから報じられる情報だけで勝手に想像をふくらませて俳句らしきものを作り上げて、それで一体何になるんだろうと思っています。目の前には、穏やかな長閑な平和な日本の春があります。戦争と春と、どちらが本物で、どちらが嘘物なのか、、、そんなことを考え始めると、すぐそこまでやってきたはずの春を素直に喜べない気分に襲われもしているのです。 80年以上前。太平洋戦争直…
*愛媛新聞社別館503教室、2024.3.2、14:00-15:30。 *近現代俳句の名句を鑑賞する講座。12回目は引き続き昭和戦前期の新興俳句を扱い、西東三鬼や渡邊白泉、藤木清子等の句を鑑賞した。
心への感情の取り込みは大切なことである 児 島 庸 晃 私の周辺で囁かれる気になる言葉がある。俳句の最近の現状についてのことだが、只事俳句が多くなったと言う。・・・これは何故にそのように思えるのだろうか。感動したと言える俳句がなくなったと言う。把握内容も意味ももっともなのだが。感覚も理解出来るし、新鮮さもある。でも物足りない。これはいったい何になんだろうか。…いろんな人から聞く言葉であった。いろんな意見はあるにしても俳句が軽すぎるのであろうか、俳句の重みを言葉から受け取れないのであろうか。これは平易な言葉や表現を意味しているのではないように思われる。俳句の基本とも思える、俳句には、そこに詩と思…
只事俳句が多くなったと言う 児 島 庸 晃 私の周辺で囁かれる気になる言葉がある。俳句の最近の現状についてのことだが、只事俳句が多くなったと言う。…これは何故にそのように思えるのだろうか。感動したと言える俳句がなくなったと言う。把握内容も意味ももっともなのだが。感覚も理解出来るし、新鮮さもある。でも物足りない。これはいったい何になんだろうか。…いろんな人から聞く言葉であった。いろんな意見はあるにしても俳句が軽すぎるのであろうか、俳句の重みを言葉から受け取れないのであろうか。これは平易な言葉や表現を意味しているのではないように思われる。俳句の基本とも思える、俳句には、そこに詩と思える表現が存在し…
今日の東京新聞朝刊のコラム「筆洗」に渡邊白泉の俳句「ラガー等(ら)の胴体重なり合へば冬」が引用されていました。俳句には興味のない私ですが『渡邊白泉全句集』(沖積舎/2005年)を持っています。(定価8,000円ですが自由価格本のシールが貼ってあります。2014年に3,650円で買いました。)「戦争が廊下の奥に立っていた」という句を知り、彼の「戦争俳句」をもっと読んでみたくなったのです。1940年に白泉は、不起訴となりましたが、特高警察に検挙されています。
私の周辺で囁かれる気になる言葉がある。俳句の最近の現状についてのことだが、只事俳句が多くなったと言う。…これは何故にそのように思えるのだろうか。感動したと言える俳句がなくなったと言う。把握内容も意味ももっともなのだが。感覚も理解出来るし、新鮮さもある。でも物足りない。これはいったい何になんだろうか。…いろんな人から聞く言葉であった。いろんな意見はあるにしても俳句が軽すぎるのであろうか、俳句の重みを言葉から受け取れないのであろうか。これは平易な言葉や表現を意味しているのではないように思われる。俳句の基本とも思える、俳句には、そこに詩と思える表現が存在しなくなってきているのであろうか。…そのように…
いつまでもある、のか いつまでもあると思うな親と金、とは、川柳だった。川柳とは柄井川柳(からいせんりゅう)と言う人の名からとったという。 戦争が廊下の奥に立っていた、という渡邊白泉という人の句が、強烈である。575という言葉の並びはリズム感があり調子がよくて、心地いい。だが人間に使われるとあまり良くない。「あのお調子もの」とは、軽々しく信用にかけるという意味合いがありそうだ。調子がいいとなぜ否定的な意味がはいるのか、よくわからない。わかりたいと思う訳でもないが。テニスをしているが、今日は調子がいい、とは、ナイスプレイがでる、いい状態のことだが、調子がいい人はお調子ものだとすると、あまりよくない…
『俳句鑑賞 1200句を楽しむ』宮坂静生編著(平凡社2023)より抜粋 * * * * * * * * * * 雪原の足跡どれも逃げてゆく 津川絵里子 水取りや氷の僧の沓の音 芭蕉 鶯の身をさかさまに初音かな 其角 蝶食ふべ二度童子となりにけり 柿本多映 陽炎のひとりを入れて縄電車 高岡修 五月来る座敷童子のやうに来る 柿本多映 五月病草の匂ひの手を洗ふ 村上鞆彦 薄闇に蹠拭きゐる夏越かな 桂信子 このバスは八月までに着きますか 久留島元 百物語唇なめる舌見えて 中西夕紀 天の川われを水より呼びださむ 河原枇杷男 蜩や杖のまわりがくらくなる 関口比良男 牛生まる月光響くやうな夜に 鈴木牛後 龍…
『富澤赤黄男 高屋窓秋 渡邊白泉集』朝日文庫 昭和60年5月20日 第1刷発行、収録「渡邊白泉句集」後半を読んだ。私的に印象深い句をいくつか。 鶯やくりまつかしはくぬぎなら 頂上で靴下を脱ぐ花の山 地平より原爆に照らされたき日 行春やピアノに似たる霊柩車 冬潮の引くや小石の音の列 をさなごの象にふれたる声麗ら (三島楽寿園) 後半の「拾遺」には戦場の俳句がずらりと並ぶ。重い。 名月や動くものなき瓦屋根 (昭和二十一年) 滑り台巨きくなつてくる子供 (昭和二十三年) 『富澤赤黄男 高屋窓秋 渡邊白泉集』の大岡信「究極の影像を索めて 高屋窓秋小論」から。《 高柳重信は新興俳句が弾圧によって壊滅した…
『富澤赤黄男 高屋窓秋 渡邊白泉集』朝日文庫 昭和60年5月20日 第1刷発行、収録「渡邊白泉句集」を読んだ。戦前戦中の作から私的に印象深い句をいくつか。 熔岩は太古のごとく朝焼けぬ (西湖) 緑蔭に潜水夫さへ走りたり ひとら去り日も去り谺樹に残る 労働者低きところに笑ひたり 銃後といふ不思議な町を丘で見た 赤く青く黄いろく黒く戦死せり なきがらや軍と資本のはざま雪 大盥(オスタップ)・ベンデル・三鬼・地獄(ヘル)・横団 芋畑を三(サン)〇(マル)二(フタ)空基地と言ふ 軍 艦 旗 掲 揚、 便 所・気 象 室 監 視 艇 全 員 泥 酔 明 日 出 航 戦 争 は う る さ し 煙 し 叫…
*「俳句界」324、2023.7.1、pp.156-159 。 *物故俳人の評伝エッセイ。40回目は渡邊白泉。「戦争が廊下の奥に立つてゐた」を詠んだ新興俳句を経て、戦後の教師生活や亡くなる直前の出来事等を綴った。その際、川名大氏、今泉康弘氏の詳細な研究を参考にした。