イギリスは、誰から見てもイギリスらしい。 前回にて示した如く、びっくりするほど多いのだ。十九世紀中盤に彼の地を歩いたエマーソンの見解と、二十世紀初頭にかけて訪英した日本人の旅行記に、符合する部分が凄いほど――。 たとえばエマーソンの時代、こういうことがあったという。 軍艦建造税の訴訟に於て判官は、これを法律に適へるものとして論じ、「英国はもと島国なるが故、その中部諸州と雖も、皆悉く海岸である」と喝破した。 シーパワー国家・イギリスらしさがこれでもかと躍如としている逸話であろう。 (イギリス、中部平原地方) 裁判官が国益をきちんと念頭に置いてくれている国家、なんと素晴らしい。思わず羨望を禁じ得な…