ときどきSNSなんかで話題となる話で、「レストランで『ごちそうさま』と言うのはおかしいのではないか」というものがある。理由としてよく挙げられるのは、「お金を払ってサービスを受けているのだから、感謝の言葉をかける必要はない」という考え方だ。確かに、対価を支払った以上、それで取引は成立していると言えば、その通りである。店側も客から料金を受け取ってサービスを提供しているのであり、特別な恩義を感じる必要はない、という理屈だ。 しかし、私はやはり「ごちそうさま」と言いたいと思うし、それを自然なふるまいだと感じる。なぜなら、礼節というものは損得や義務の延長線上にあるものではないからだ。人が手間ひまをかけて…