140.『雨の降る日』漱石最大の誤植――鏡子『思い出』と雛子の死 以前本ブログ(漱石「最後の挨拶」)の三四郎篇にも引用した、前著(『明暗』に向かって)の中の記事「漱石作品最大の誤植」を、ここで再び掲載することをお許し願いたい。 『明暗』に向かって/Ⅲ.棗色の研究/37.漱石作品最大の誤植 より全文引用 それは実は漱石の書いたものでない。漱石全集にあるものではない。それは鏡子の『漱石の思い出』という、改造から昭和になって出た回想録である。該当箇所は「雛子の死」の終わりの方。 この雛子の急死の模様は「彼岸過迄」の中の一篇「雨の降る日」という中に詳しく書かれております。この小説は亡くなった子供の悲し…