(約10,200字) 月刊『自由と正義』*1巻末に、ある懲戒事例が載りました。弁護士としては引っ掛からざるを得ない事例です。自分の思考の整理のために、少し記事を書いてみたいと思います。 『処分の理由の要旨』として書かれている内容は、以下のとおりです。 被懲戒者は、Aから委任を受けたBとの離婚訴訟において、AがBの自動車にGPS装置を取り付ける方法によって、6か月近くにわたり、夫婦関係破綻により別居していたBの行動を監視していたこと等を認識しながら、2019年1月31日頃、上記GPS装置の位置情報の履歴を、証拠として提出した。被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第14条に違反し、弁護士法第5…